山開き断念相次ぐ 県内 高線量理由に 実施の山は測定し公表も

山開き断念相次ぐ 県内 高線量理由に 実施の山は測定し公表も


山開きに向けて登山道の整備に励む会員=川俣町・女神山  東京電力福島第一原発事故に伴う放射線の影響を懸念し、県内で今年の山開きを中止するケースが出ている。福島民報社の調べでは、いわき市の鬼ケ城山、二本松市の羽山など少なくとも10カ所で、放射線量が高いことを理由にイベントを取りやめた。例年通り実施する山では、放射線量を測定して公表する動きが広がっている。
■登山は規制せず
 放射線量を理由に山開きイベントを中止したのは、鬼ケ城山、羽山の他、二本松、田村、川俣、浪江、葛尾5市町村にまたがる日山、伊達市の霊山、川俣町の長寿山・太郎坊山と福沢羽山、花塚山、口太山、高太石山、桑折町の半田山。
 鬼ケ城山は、麓の駐車場や登山口付近などは高圧洗浄機を使い除染したが、登山道の大部分は手付かずで、高い地点では毎時1.5マイクロシーベルトあるという。家族連れの登山客が多いことを考慮し中止した。登山自体は規制しておらず、管理する「いわきの里鬼ケ城」の担当者は「登山客から問い合わせがあれば、放射線量の測定結果を伝えたい」と話す。
 日山は原発事故に伴う避難区域にまたがることから山開きを断念した。
 県内ではこの他、震災や水害で被害を受けた山林などの復旧が完了していないことから山開きイベントをしない所もある。
■試金石
 15日に山開きイベントを実施する川俣町の女神山では、地元有志でつくる「女神山を愛する会」のメンバーが登山道の草木の仮払いなどをしてハイカーを待っている。今年はいつもの作業に放射線量測定が加わり、雪解け前から数回に分け、登山道5、6カ所で測定した。
 数値が高い所でも、毎時0.5マイクロシーベルトほどだが、例年、登山客に配っている登山マップに放射線量を記載する予定。蓮沼昇会長(78)は「山林内の放射線量が高いのではないかと心配する声が登山客から寄せられている。実際の数値を知り、安心して登山してほしい」と話す。
 県北地方と比べて放射線量が低い会津地方でも測定の動きが広がっている。檜枝岐村は、田代山・帝釈山の登山口や、会津駒ケ岳の登山道で毎日、空間放射線量を測定して結果をホームページで公表する取り組みを今月中にも始める。担当者は「県外から見れば同じ福島県。昨年は関西地方からの客足がほとんど途絶えた」と嘆く。
 天栄村の二岐山でも線量を測定する計画だ。山開きを担当する村生涯学習課の根本容作係長(50)は「春には観光シーズンが本格化する。どう風評被害を払拭(ふっしょく)して登山客の入り込みを確保するかが、村の観光の今後を占う試金石になる。山開きを観光客の呼び水にしたい」と言葉に力を込めた。
■洗い流して
 県放射線健康リスク管理アドバイザーの高村昇・長崎大大学院教授は登山中の被ばくについて「山林の除染はあまり行われていない状況だが、極端に線量が高い地域があるとは思えない。局地的に高くても、山に滞在するのは数時間で心配する必要はないだろう」との見方を示す。その上で、登山後に衣服や体に付いた土ぼこりを洗い流す対応を勧める。
 一方、「空間線量を把握することは大切」として、自治体などが登山道の空間線量を測定、公表する取り組みは意義があるとしている。
福島民報、2012年4月 6日
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2012/04/post_3607.html

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